建設業法Q&A 第1回 ~建設業法の規定について~
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2017.09.07
【 Q 】
A社から建設工事(土木建築に関する工事)を受注したので、下請業者のB社にその建設工事を請け負わせようと思っています。B社との関係で、下請業者に支払う代金について法律の規制はあるのでしょうか。
【 A 】
今回の建設工事というのは、土木建築に関する工事なので、建設業法第2条第1項の「建設工事」にあたり、建設業法の適用を受けることになります。
建設業法には、下請負人を保護することを図った規定が設けられています。
(1)法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
建設工事を施工するために必要な原価にも満たないような金額を請負代金とすることが禁止されています。
(2)法第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)
元請の立場を不当に利用して、建設工事に使用する資材などを指定したり、購入させたりすることが禁止されています。
(3)法第24条の3第1項(下請代金の支払)
注文者から出来形部分に対する支払や工事完成後における支払を元請負人が受けた場合には、下請負人に対し、①支払を受けた日から1か月以内、かつ、②できる限り短い期間で支払わなければなりません。
(4)法第24条の4(検査及び引渡し)
下請負人から建設工事の完成の通知を受けた場合、元請負人は、①通知を受けた日から20日以内で、かつ、②できる限り短い期間で完成の検査を完了しなければなりません。
(5)法第24条の5(特定建設業者の下請代金)
特定建設業者(1件の建設工事の代金が4000万円(建築工事業の場合は6000万円)以上となる場合)が注文者となる下請契約で、下請負人が特定建設業者や資本金4000万円以上(施行令第7条の2)の会社ではない場合には、さらに支払期日(①建設工事の引渡しの申出の日から50日以内で、かつ、②できる限り短い期間で支払わなければなりません。)と支払方法(一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を使ってはいけません。)について規制が設けられています。
なお、下請法(下請代金支払遅延等防止法)という法律もありますが、建設工事の請負の場合には適用されません(下請法第2条第4項)のでご注意ください。
弁護士 矢野