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二重抵当の設定行為が破産法の「悪意で加えた不法行為」にあたるか

2020.09.14

解決事例:
二重抵当の設定行為が破産法253条1項2号の「悪意で加えた不法行為」にあたるか。

表題の論点が争われた弊所受任案件の控訴審判決で、二重抵当の設定行為は「悪意で加えた不法行為」とは言えないとし判示し、弊所依頼者様の主張が全面的に認められました。

「破産すれば全ての借金がチャラになる」というイメージがあるかもしれませんが、破産法所定の一定の債務(非免責債権)は、破産し、免責決定が出た後も依然として免責されません。
非免責債権の代表的な例としては税金(「公租」(破産法253条1項1号))です。同様に非免責債権とされているのが「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」(破産法253条1項1号)です。
これまで、横領行為や詐欺行為に関しては「悪意で加えた不法行為」と認定された裁判例がありましたが、二重抵当に関して判断した事例は(少なくとも判例集等を調査した限り)ありませんでした。

二重抵当とは、同順位の抵当権を二重に設定することをいいます。同順位の抵当権は複数存在することはできず、二重抵当を設定された抵当権者のうち、登記を経由できなかった方は第三者に自己の抵当権を対抗できず、抵当権に基づく種々の効力(特に抵当権が実行され担保不動産を処分した結果得られた金銭の配当を優先的に受ける効力(優先弁済的効力))の恩恵を受けられなくなります。

今回は、二重抵当の設定行為が相手方を積極的に害することを企図して行われたものではないとして「悪意で加えた不法行為」とは言えず、非免責債権にあたらないと判断されました。

破産すれば債務は全てなくなる、とは必ずしも言えず、免責決定後も債権者からの請求を受けうる場合があることには注意が必要です。

問題解決に向けて、全力を尽くします。まずはお気軽にお悩みをお聞かせください。

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