案件種別

相続・高齢者問題
遺言の解釈(4)

遺言の解釈(2)の記事で、
最高裁昭和58年3月18日第二小法廷判決(判時1075号115頁)では、遺言者の真意の探求のために、遺言書外の事情(遺言書作成当時の事情、遺言者の置かれていた状況等)も考慮することができることを示した、と紹介しました。
この判例は、「遺言書外の事情をどこまで考慮することができるのか」という問題も暗に提起していると言えるでしょう。

この問題は、遺言が要式行為(法律で定められている方式に従わなければ不成立または無効とされる)であることと関係します。

遺言が要式行為である趣旨は、遺言者の真意を明確にするとともに、他人による遺言の修正・変造を防止することにあります。
仮に、遺言書以外の外部事情を際限なく用いて自由な解釈を行い、遺言の文言から導かれたものとはいえない内容が遺言の効力として認められてしまうと、上記の趣旨が形骸化されてしまうのではないかという問題が提起されているのです。

したがって、遺言書以外の事情を考慮したとしても、解釈結果と遺言書の記載自体との関連性が明確であることが求められることになります。

なお、関連性の強弱や明確性の程度については、個々の事件によって様々ですし、担当裁判官にどのような心証を抱かせるかは、代理人の技量も関わってくるでしょう。

次回は、遺言の解釈が問題になった裁判例を紹介したいと思います。

【参考文献】遺言と遺留分 第1巻 遺言/日本評論社/久貴忠彦 (編集)/P335~P369

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